高嶺の花:

遠くから見るだけで、手に入れることのできないもの、あこがれるだけで、自分にはほど遠いもののたとえ。

デジタル大辞泉

婚活レースに取り残されたと嘆く女性

出版社で編集の仕事をしている由香里さん(31歳・仮名)は、地方出身、東京在住の女性。

職場には同世代の男性もかなりいて、一応出会いはあるが、残業や出張が多く多忙なため恋愛をする暇ががない、と嘆いて結婚相談所へご入会されました。

ご入会時の面談で、

「異性はけっこう周りにいるんですよ。でもすごくいいなと思う人は手が届かないハイスペックで彼女持ち。または既婚者ばかりで。職場の先輩たちは、高校時代からの友達の紹介や合コンで出会ったすごく条件のいい人と結婚しているんです。でも私は学生時代は彼氏といつも一緒にいたから、今さら女友達からの紹介は期待できなくて。20代後半で、もっと上を目指そうと思って、彼氏とお別れしてしまったのが痛恨のミスだった」と肩を落としていました。

理想はドラマの主人公

由香里さんのように、地方の出身で東京に上京して進学・就職したという婚活女性は多い。

「東京で有名大学を出れば、まるでテレビドラマの主人公のようにハンサムで優しいエリート男性が自分を見つけてくれて、あっという間にプロポーズされるに違いない、と夢を見ていた」

というのですが、現実はそんなに素敵な男性って滅多にいない、とのこと。結婚相談所ならきっと理想の男性がいるに違いない、そう思ってご相談に来られました。

由香里さんは、「20代の頃は毎日毎日必死で働いて、休みの日は疲れて彼氏と家でダラダラ過ごすことが多くて、気づけば仕事ばかりで30の大台に乗ってしまった」と涙目でした。

リアル王子様はちょっと頼りない男性

結婚相談所で出会って何人目かに交際に入ったのは、たつやさん(31歳・仮名)。

由香里さんと同じ年齢で、同レベルの大学を卒業していて、地方出身。お互いお酒を飲むのが好きで、海外ドラマの話で盛り上がってなんとなく自然にするりと交際が始まった男性です。ゆかりさんがいうには、彼はお友達止まり。すごく結婚を真剣に考えているというよりも「一応キープしている」状態。とはいえ、初めてお見合いで会った時からたつやさんといると笑いっぱなしで、時間を忘れて話し込むほど楽しい。だから結婚も考えられなくはないけど、食事代はなんとなく自分も払っているし、年収も自分とさほど変わらないのが引っかかっているとのことでした。

由香里さんは、職場の先輩が次々とハイスペック男性と結婚していくのを目の当たりしていたから、

「彼が嫌なわけじゃないけど、もっともっと上を狙いたい気持ちが抑えられないんです。自分でも浅ましいと思うけど、結婚ってなんかもっと自分を押し上げてくれるというか、特別感が欲しいのが正直な気持ちです。」

と、仲人おぎたに打ち明け、さらにハイスペックな男性にお申し込みをしていました。

都会のエリート男性との交際

そんな時に自分からのお申し込みで交際がスタートしたのが昌隆さん(37歳・仮名)でした。昌隆さんは、世田谷生まれで港区に住んでいる、まさに都会の男性。一流大学を出て外資系IT企業に勤務している、高年収エリートです。

最初のデートでは、どんなにおしゃれで高級なお店に連れていってもらえるかと思ったら、外苑前のラーメン店。

「ここのラーメンって本当に美味いんだよ、由香里ちゃんも絶対気にいると思う」

と得意げに言われ内心がっかりしたものの、(これはきっと踏み絵だわ。怒ったら負け、我慢して付き合ってあげましょう)と自分に言い聞かせて、にこやかに受け入れ、凌いだとのことでした。

「行きたいお店があったら言ってね!俺レストランとかよく知らないから」

「いいえ、美味しいから毎日でも食べたいです、ここのラーメン!」

こんなことで玉の輿に乗るチャンスをみすみす逃したくない!と必死で合わせたそうです。

その後お礼をメッセージして、次はいつ会えますか?と催促するも、「忙しいから」とデートの約束がなかなか決まらず、不安な状態が続きました。

メッセージは未読スルーのまま2,3日放置されることも頻繁にあり、どんどん不安が怒りに変わっていったそうです。

私が地方出身だからってバカにしているのかも!

大体初デートでラーメン店に女性を連れていくなんて、非常識なんじゃない?

と時間が経つとともにイライラが募りましたが、2度目のデートがなんとか決まりました。

今度は渋谷のファミレスで、流石にカチンときた由香里さん、

お忙しいでしょうから、次から私がお店を予約しましょうか?

と思わず提案したそうです。

地方出身の人ほどおしゃれなお店に行きがち

都会の高学歴な男性にありがちなのですが、中高一貫校で男子校出身だと男同士でつるんでばかりいて、女性が喜ぶようなデートを提案できません。昌隆さんは大学も1浪したから周りとなんとなく馴染めず、結局高校時代の男友達と遊んでばかりだったとのこと。恋愛経験もほとんどないまま30代後半に突入したタイプでした。こういう男性は結婚相談所ではよくお見かけします。

デートのお相手がたつやさんなら、もっと気楽に私の方から「こういうお店はイヤ、ここに行きたい!」って言いやすいんです。でも昌隆さんは年齢も上、学歴も家柄もあちらの方がずいぶん上だと思うと、なんか言いたいことが言えないんです。

仲人はいいました

「青山や銀座のおしゃれなお店をわざわざ調べていって並んだり、コース料理を予約したりするのって、実は地方から出てきた人が多いんですよ。都会の人は実家周辺や高校時代に通ったお店をいつまでも大事に使っていたりしますよ。そもそも男の人が一人でおしゃれなキラキラしたお店って入りづらいのは想像できるでしょ?逆に女性経験が豊富な人やよく遊んでいるチャラ男じゃないってことです。結婚したら夫婦でいろんなお店を開拓すればいいんだから。」

と伝えると、

「でも結婚したら多分私が毎日ご飯を作るんですよね? 今贅沢させてくれなかったら、いつさせてくれるのかって正直疑問です、、」

「婚活はね、無料で女性に贅沢をさせるためのアクティビティじゃないのよ、それに男性は女性のお財布じゃないの。もっと真面目に結婚相手として一緒に生きていけるかどうか、人間性をよく見てね。自分らしくいられて、行きたいお店に行けるなら、むしろたつやさんの方があなたに合ってるんじゃない?」

由香里さんは一瞬言葉に詰まりましたが、しばらく考えて

「確かに、、、私、今たつやさんがいなくなったら、仕事のモチベーションも下がる気がします。落ち込んでるときも、電話で必ず笑わせてくれるんです。夜寝る前に会話すると、今日もいい1日だったってなんとなく安心して眠れるんですよね。しかもちゃんと電話に出てくれるし、向こうからもかけてくれる」

真剣交際の打診の打診

その話を受けて、早速仲人おぎたはたつやさんの仲人さんに連絡を入れました。

「そろそろ交際がスタートして2ヶ月経ちますが、真剣交際はお考えでしょうか? 由香里さんのなかで、たつやさんはなくてはならない存在になりつつあり、お仕事のモチベーションアップにもなっているそうですよ」

するとたつやさんの仲人さんがたつやさんに面談をして下さり、その結果、「たつやさんは次のデートで真剣交際を申し込みたいそうです」とお返事を頂いたのでした。

その後お二人は交際に入り、無事プロポーズへと進まれましたよ。

理想の結婚相手とは?

理想というと、そもそも手が届かないもの、現実的ではない何かというイメージがあるのではないでしょうか?結婚相手としては、結婚生活がイメージできないくらい、価値観や生活スタイルが違っている人は「理想的」とはいえません。

よく結婚したいけど、いい人がいない、という言葉を聞きますが、正確には、「丁度いい人」が理想的なお相手です。そしてもっと欲を言えば、心が柔軟で伸び代がある人、一緒にいると安心させてくれて同時にワクワクする人を見つけられたら最高です。そしてそれって必ずしも、学歴や年収とは直結していないのです。

高嶺の花は、手が届かないもの、自分からほど遠いものという意味です。ただ遠いというだけで、それが万人にとって丁度いい理想的な花とは限らないのです。

まとめ

結婚相手も人間ですから、成長します。むしろ結婚してからお互いの関係性の中で影響を与え合い、だんだん人として熟成していくのです。既婚者がおおむね魅力的に見えがちなのでは、そのためです。

実際に成婚した皆さんに聞いてみると、新婚当時から百点満点なダンナさんなんてまずいません。ものすごく優しければ収入面で少々頼りなかったり、経済力がふんだんにあればちっとも気を使ってくれなかったり、なんてよくある話。

結果的に、お互いどちらが上とか下とかそういう変な遠慮がなくて済む人と結婚する方が断然おすすめです。特に若いうちは伸び代が大きいので、30代前半の時は満足度60%くらいでも、結婚してからお互いに馴染んでいって、長い時間をかけてだんだん唯一無二100%の理想の関係へと近づいていけばいいのですから。

とかくお見合い結婚というと、人生一発大逆転のチャンスとばかり手が届かないような相手に目がくらむものですが、学歴や会社名で人間の値打ちが決まるわけではない事を忘れないで欲しいものです。大事なことは自分が居心地よくいられるかどうか、ですよ。

自分の理想の結婚がわからなくなったら、いつでもご相談くださいね。お待ちしております。仲人おぎた