40代はこじらせ世代
結婚相談所の門を叩く女性の中でも、40歳前後の女性は年齢とともに身についた高いプライドを感じます。40年、と言う人生の歴史の中で、それなりに色々経験し、物事の分別がついているからこそ難しい問題が立ちはだかってくるのがアラフォー婚活なのです。
姉へのライバル意識を捨ててご成婚したアラフォー女性
理恵さん(40歳・仮名)がご成婚したお相手は、恋愛経験がない低姿勢な男性でした。「彼って優し過ぎてちょっと頼りないところがある」といっていましたが、姉御肌の理恵さんにはぴったりの男性ではないかと、仲人は思いましたよ。
ですが、実は理恵さんはご入会の際、こんな条件を掲げていました
- ・年収700万以上
- ・年齢は40代ならうんと年上でもOK
- ・顔は気にしない、生活力がある人なら
- ・国家公務員希望
- ・子供を産みたい
とおっしゃっていました。なぜ国家公務員なの?と聞くと、
「姉が国家公務員の男性と結婚をして、一人子供を産んでいるんです。私も姉と同じように国家公務員と結婚できるところを見せたい。いつも姉から見下されてきたので、負けたくないんです」
理恵さん
とお姉様へのライバル意識を見せていました。
女の敵は女
このように40代で結婚相談所を検討される女性には、姉や妹、友達や同僚など身近な既婚女性と張り合おうと言う意識が満々なケースが少なくありません。もちろん男性でもそうですが、男兄弟や友人が結婚すると非常に焦ったりするのは、
あの人より劣っていると思われたくない
という意識が働いているようです。それでいて、交際相手ができたりすると、真っ先に相談するのがそのライバルだったりするので、むしろ足を引っ張るような助言があり、一層こじらせるようです。
相談相手もライバルも姉
理恵さんも、資産家のご子息である和哉さん(43歳・仮名)と交際がスタートした時には、母や姉へすぐに報告をしたそうです。都心から電車で1時間以上かかるとはいえ、立派なお屋敷と広い農地があり、おうちには果樹が何本も生えているような邸宅で、家や土地への憧れが強い理恵さんにとって和哉さんはまさに王子様に見えていたようです。
早くあの家に住みたいな!
そう思った理恵さんは黙っていられずにお姉さんへ自慢をしたそうです。後で聞いたところ、それまでも交際相手ができるたびに母と姉に報告をして、反応を気にしていた理恵さん。実は最初に交際した男性のことを話すと、
「ふーん、普通だね。可もなく不可もなくって感じ」
お姉さん
と鼻で笑われたことが本当に悔しいとこぼしていました。
姉たちをギャフンと言わせたい、”やるわね、すごいじゃないの!”とうらやましがられるような人と結婚して見返したいと言う思いが会話の節々に漏れ出ていました。
プライドが男性を遠ざける矛盾
結局その和哉さんからは、突然の交際終了を告げられて幕がおりてしまったのです。
交際終了の理由は、彼女の態度に失礼なところがあったから、とのことでした。思い当たる?と聞いてみると、「そういえば資産家のご子息だからと、色々おねだりをしたり、贅沢な食事を希望したりと、ついつい調子に乗ってしまったかも」と理恵さんは言っていました。
理恵さんはその後7人ほどの方と交際して、年上のハイスペック男性とも会ってみましたが、誰とも交際は続きませんでした。実は彼女の”やや上から目線”なところがハイスペ男子からすると「イラっとさせられる」「なんだか失礼に感じた」と伝えられていました。
プライドが高い40代の女性と、同じく仕事である程度成功を収めたプライドの塊のような40代男性がお付き合いしていけば、プライドとプライドのぶつかり合いになってしまうのは必然なのです。
上から目線の自覚がない
そのお話をしたところ、理恵さん本人は
「そんなつもりはなかった。自分が上から目線とは全く思ってません!」
とのこと。いいにくけど、と前置きした上で仲人は伝えました。
「あのね理恵さん、逆に全く悪気がない発言で、そのように相手が引いてしまうことが繰り返されるのは、残念ながらもう変えることが困難なのかもしれないね。」
仲人おぎた
と言うとその結論に理恵さんも納得していました。
《理恵さんに年上男性は、むしろ難しいかもしれない》
と仲人は判断をして年下男性にも範囲を広げて《おすすめリスト》をお作りしたところ、見事2歳年下の素敵な男性とお見合いをし、真剣交際に入れたのです。
40代男性は昭和レガシーの覚悟を
アラフォーの婚活で、10個くらい年上でもいい、その代わり高年収の人がいい、と言う女性は少なくありません。理由は単純で、40歳くらいからだんだん体力の衰えを感じてくるため、もしもの時に備えて、経済力だけは担保しておきたいから。みなさん口を揃えてそう言いますし、私自身も身に覚えのある感覚です。
ですが、40代の男性は案外まだまだ昭和レガシーの中で生きているので、
・デート代は男が出すべき
というジェントルマンシップとも取れる行動が目立つ一方で、
・女は子供を産んで当然
・家事育児は女性の仕事
・女性は謙虚で遠慮がちであるべき
と信じて疑わない人がまだまだ少なくありません。ですから元気な30代後半の女性が、プライドの高い40代男性と結婚するのは、男性女性どちらにとってもイバラの道なのです。価値観のギャップでぶつかる可能性がありますからね。(もちろんみんながみんなプライドの塊ではありません。なるべく優しそうな人を探す方法もあります)
アラフォー婚活で最も重要視すべきポイント
理恵さんは最終的に、年齢が二つ下の、年収は平均的なごく普通のサラリーマン男性と結婚しました。なぜ彼を選んだのか聞くと、
彼ってマインドがイケメンなんです。
本当にいつも私の気持ちを察してくれて、大切にしてくれるのが嬉しくて。
この人の隣にいたら、いつも特等席にいるみたいで、幸せなんです。
ついでに自分のコンプレックスを忘れられるって思ったんですよね。
理恵さん
そう答えていましたよ。ちなみに、「お姉さんとお母さんには相談したの?」と聞くと、
どうせろくなことを言われないから、プロポーズまでは内緒にしました。
でも彼と会わせたら、若いしハンサムなので、姉は明らかに「負けた!」って顔をしていましたよフフフ
理恵さん
そう得意げでした。
どうやら理恵さんは、お姉さんとは別の土俵で闘うことにしたようです。
子供ができたらラッキー、できなくてもハッピー
アラフォーでの結婚は、妊娠する可能性も、安全に出産できる可能性も、30代前半と比べてかなり低い確率になっていることをみなさんご存知と思います。その点を考慮すると、子供がいなくても二人で仲良く幸せにやっていける人と一緒になり、もしも授かったらその時は大切に育てようね、と言うスタンスがお勧めです。
時々、50歳近くになって、
自分は長男だから絶対に男の子を産んでもらわないと困る
と血眼になって30代女性に申し込みをして振られ、42,3歳の女性で失礼ながら手を打とうとしている婚活男性をお見かけしますが、そう言う人と一緒になることは、同じ女性の立場から正直お勧めしません。
子供ができるかどうかは結婚してみないとわからないことですし、しかも40を過ぎた女性に絶対に産んでほしいなんて、ハラスメント以外の何者でもないと思います。そう言う人と結婚してもしも子供ができなかったら、不良品のように扱って離婚すると言い出しかねませんよ。
理恵さんが手放すことで手に入れたもの
理恵さんは、お相手のスペックの希望が高く、お相手の職業まで決めてご入会されましたが、結果は全く違う人を選び、また選ばれました。
それでも、この選択に間違いはない、と揺るぎのない自信を持っていましたよ。
でもその結論へ至るには、理想と思った条件のお相手から振られ続けプライドが傷ついたり、姉と比較されることで育てしまった自分の中のコンプレックスと向き合う時間が必要でした。
理恵さんのように痛みを伴う婚活をしたくない、そう思う人は多いと思いますが、安心して下さい。本当に大好きなお相手との結婚を手に入れたら、それまでの悩みや苦労なんて本当にちっぽけで、幸せの影に霞んですっかり忘れ去ってしまうものです。
逆説的ですが、婚活で苦労をした人ほど、真の幸福とはなにか、本当に自分にぴったりなお相手とはどんな人なのかをはっきりと感じ取ることができているように思います。
婚活は、正しく苦労をすれば、どんなに辛くても決して無駄にはなりません。ですが、意地悪な人や足を引っ張ろうとする人にばかり相談していたら、どんどん深みにはまって、迷い込んでいってしまうでしょう。
理恵さんは最高の伴侶を手に入れただけでなく、人間的にも成長し、魅力が増していましたよ。今では素敵なお嫁さんとして、心と経済の安定も手に入れて幸せに暮らしています。
仲人 おぎた
※作中の人物と会話は、実話を下敷きにした創作です。個人情報保護のため、ご了承くださいませ。