恋とは脳のエラー反応である。脳科学者たちの間ではもうそれは動かしようのない事実として語られています。正常な判断力を失い、陶酔状態になるのが「恋」。ならば恋する気持ちだけで一生のお相手を決めるにはあまりにも危険でしょう。とはいえ「恋心」なしで結婚という人生のハードルを超えるモチベーションが上がらないのも事実なのです。きょうは「私って恋に落ちないんです」と言っていた女性が結婚に至ったプロセスをお伝えしていきます。

結婚するなら好きな人と?

池袋ぶどうの樹結婚相談所で成婚された皆さんは、男性も女性もお相手のことを大好きになって婚活卒業されています。とはいえ、「好き」という感情だけで結婚を決めるのはとても危険なこと。なぜならば、あつく燃えたぎる恋の炎は1年もすれば冷めてきて、通常モードに戻ってしまいますが、結婚は日常生活として何十年も続いていくものだからです。

私は仲人として長年成婚カップルを見ていますが、実はここだけの話、婚約当時は同じ熱量のカップルってそんなにいませんよ。どちらか一方が熱烈に好きで、もう一方はそれに応えて好きになった、というケースがとても多いのです。ところが結婚し、年月を経て、より大きく「好き」という感情が育っていくのは、最初は好かれていた方だということを知っておいていただきたいものです。

愛されて結婚した人は、やがてお相手よりも愛するようになっていく

仲人おぎた

この方程式を私は発見しました。ですので、結論としては、幸せな結婚をしたいなら、自分を好きになってくれた人を好きになるように努力してみることが最もおすすめなのです。

33歳で初恋婚を叶えた女性

沙羅さん(33歳・仮名)は、いわゆる恋をしたことがない女性でした。ですが、どうしても孫の顔が見たい!というお母様の強い後押しがあり、ぶどうの樹結婚相談所の門を叩いてくださいました。

そもそも沙羅さんはとても受け身で、慎重なご性格。

言い換えると、傷つくことを恐れて警戒心が強くなっているようでした。

結婚相談所で交際に入っても、お相手からのデートのお誘いが遅かったり、日程や行き先がなかなか決まらなかったりすると、「遊ばれている」とか「真剣味がない」と感じてすぐに自分から交際終了してしまいます。

恋に落ちない婚活女子

当然ですが、それだけ警戒心が強いとおいそれと恋になんて落ちません。恋をするということは、失恋のリスクがつきまとうから、できればしたくないというのです。

「よく知らない男の人を好きになって、3ヶ月で結婚を決めるなんて難しすぎます。母は期待しているけど、私にはお見合い結婚なんて無理だと思うんです」

そう言って婚活を辞めたがった時期もありましたよ。

ここまで読んで、そんな女性がどうやって結婚できたのか不思議に思う方もおられるのではないでしょうか? 実は簡単なことです、お相手の男性が真心を見せてくれたから、心を開くことができたのです。

お母様も納得の紳士的な男性

沙羅さんに熱烈なラブコールを送ってくれたのは、6歳年上の真和さん(39歳・仮名)。いつも自分に自信がなくて、リードしてくれる頼もしい男性を希望していた沙羅さんにはぴったりの方でした。

真和さんは、デートのたびに完璧なプランを提案し、終わるとすぐ次のプランを提示して誘ってくれる段取りの良い男性。受け身な沙羅さんは、そのプランをただただ、絶賛していました。ある時沙羅さんに相談されました

「いつもいつも彼のデートプランを受け入れるだけなんですけど、これでいいんでしょうか?」

私は

「彼が用意したデートに満足しているんでしょう?それなら、余計なことはせずに、素直に感謝と感動を言葉で伝えてね、真和さんの仲人さん経由でもその気持ちを伝えておくから」

とお答えしました。

案外知られていないようですが、直接的な褒めや感謝だけでなく、仲人さん経由でデートや振る舞いを褒められると、男性はすごく大きな自信につながります。そして男性は自信がつけばつくほど、プロポーズがしやすくなるのです。

また、うんと年下の女性を希望する男性は結構多いのですが、年上男性がきっちりリードできるとかというと、必ずしもそうではありません。一方でどの世代の女性に聞いても、「年齢が離れれば離れるほど、お相手へのデートの要求レベルは高くなる」と答えています。

そんなわけで、リードが上手な頼もしい男性という、沙羅さんからの報告を受けて、お母さんも「沙羅にはぜひ真和さんと結婚して欲しい」という気持ちが強くなっていったのです。

お母さんを喜ばせたい

恋愛に関しては慎重で奥手な沙羅さんですが、お母さんを喜ばせたいという気持ちは人一倍強い親孝行な女性です。ですので、お母さんの強力な後押しと、真和さんからの熱心なお誘いが、彼女の気持ちを結婚へと向かわせました。

そして気がつけばあっという間に交際2ヶ月が経過していたのです。

その頃には、沙羅さんも真和さんに対して心を開き始めており、私が

「真和さんには内緒で、他の人ともお見合いをしたい?」1

と聞くと、

「別の人と新たにお見合いをして交際を始めるくらいなら、真和さんの方が信頼できそうです。」

と真和さん一人に絞って交際をする覚悟が決まっていました。

「好き」以外の理由があってもい

結婚は好きな人としなくてはいけない、と思っている人は多いかもしれません。あるいは、おみあいなんて条件だけで決めるんだから、好きかどうかは関係ない、という極端な発想の人もいることでしょう。でも、実際のところ、ごく普通の考え方を持っている人ならば、ある程度以上好きという感情がなければ結婚へ進むことは困難なものです。

また、人間って何か決断をするときに、100%理性で決めているようでも実は先に感情が動かないとなかなか決断ができないもの。感情が動いたことを正当化するために理性で理由を集めるのだそうです。あるいは理性を上回る合理的判断を感情の方が先にすることがある、とも言われています。2

沙羅さんの場合、真和さんのことを好きどうか分からないと言いつつも

  • デートへの誘い方がスピーディでコンスタントなので好感が持てる
  • デートのプランが彼女を喜ばせる内容で満足させてもらえて嬉しい
  • デートではいつも時間が忘れるくらいおしゃべりに夢中になっていた
  • 何度も会ってたくさん会話をしたことで、信頼できると感じるようになった

という理由から、「真和さんともっと一緒にいたい。もしも会えなくなってしまったら辛い。」という言葉が出てきました。

これってもうお分かりですよね、普通なら恋に落ち始めていると言ってもいい状況なのです。でもそれでも、好きかどうかは分からない、と沙羅さんは自分の恋愛感情をなかなか受け入れていませんでした。まだまだ傷つくことを恐れていたのでしょう。

結婚してから始まる「愛」

婚活をしているけれど、つい恋愛感情にブレーキを踏んでしまう人は、多いのではないかと思いますが、それは別に異常なことではありません。

なぜなら、恋愛って非常に心が無防備な状態なので、不安定な関係のままお相手のことを好きになりすぎると、失恋や裏切りという大きな痛手を受ける可能性があるものです。

傷つきやすいメンタルの人にとって、ある意味で恋愛ブレーキは心の防御反応なのです。

ではそういう人がどうすれば結婚相手を好きになれるかというと、まずはデートにちゃんと誘ってくれること、途切れずに連絡をとって、最終的にはプロポーズをしてもらい安心して好きになれるという状況を作ることです。

結婚したら家族になるので、お相手のことをどんなに好きでも、誰も傷つきませんから。

沙羅さんの場合も、プロポーズをされて一緒にすみ、入籍をして初めて(真和さんのことが大好き)という気持ちを受け入れたようでした。赤ちゃんと3人でとった笑顔の写真が物語っていましたよ。

恋に落ちない人の婚活まとめ

恋をしたことがない人や、恋に疲れてしまった人の婚活にはコツがあります。それは無理に一足とびに結婚という結果に飛びつかないこと。段階的にステップを上がっていくというやり方です。

  • 最初のお見合いは、特に違和感がないならOK
  • 1,2回目のデートは、デート中不愉快でないならOK
  • 3回目のデートでこれからも会ってもいいと思うならそれで十分
  • 4回目のデートでお互いの下の名前を呼ばれてもムカッとこないなら上出来

そうこうしながら、結婚したら子供が欲しいのかどうか、仕事は続けたいのかどうか、結婚後に住むならどのあたりがいいのかどうか、など結婚後の生活の希望をお互い聞き会って大きなズレがないかどうかをちょっとずつ探っていきましょう。

いきなり一回めのデートの後で、

あの人とエッチすることなんて想像ができません!

という報告をしてくる人がいますが、まだまだ信頼関係も築けていない段階で、キスがどうとか、子作りがとどうとか、余計な妄想をしずぎると「オエっ」となってしまうのは当然です(笑)

だから、そういう妄想は一旦ストップ!と私はお伝えしていますよ。

だって、婚活では一度さよならしたらもう永久に会うこともないわけです。

言うなればまた富士山の一合目あたりにいるのに、頂上の景色をあーだこーだ想像して登れない、登りたくないなんて論じるだけ無意味です。

理想の結婚を手に入れる最短ルートは、実は目の前の確実な一歩から、なのです。

いきなり恋に落ちなくても幸せな結婚はできる

ときに、あなたの人生の目的はなんですか?

瞬間のときめきに身を焦がすこと?

結婚して暖かい家庭をもつこと?

子供を産み育てるパートナーを見つけること?

いずれにしても、恋愛は恋愛そのものが目的であり結果です。結婚は長い目で見て、安心感と信頼を持つことができ、一緒にいるとついつい笑顔になってる、会話が途切れない、もしもお相手もそう感じているならば、それだけで結婚するには十分なのです。あとは時間をかけてたくさんのことを一緒に経験し、愛情のボルテージをゆっくり上げていけば良いのですから!

恋をしたことがない方も心配はいりません、まずはご相談くださいね。仲人おぎた

  1. 仲人は時に会員様が心の奥で思っていること、まだ言語化できていない本心を引き出すためにこういった質問をすることがあります。お相手にはちょっと申し訳ないのですが、会員様ご本人がご自分の心の声に耳を傾けることで結婚への決意がより早く固まることも多々あるのです。 ↩︎
  2. 「感情と理性の折り合いとしての意思決定」長瀬 勝彦 首都大学東京大学院社会科学研究科(組織科学41巻4号、2007年)
    ↩︎